
飴と鞭と甘いワナ
第4章 scene Ⅳ
「痛たた…」
結構な勢いで急所に
入った踵蹴り。
あまりの衝撃に身悶えるけど。
のた打ち回ってる場合じゃないのは百も承知。
「……ニノ」
痛む腹を抱えて
「ニーノ………ニノ?」
…………不気味な沈黙。
布団を捲れば不貞くされ継続中……かと思って覗き込めば。
真っ赤な頬っぺたに荒い息。
これって…ヤバくね?
さっきまで俺を睨んでた目は固く瞑られたまま。
ヤバい……熱上がってる。
あ!!
ドラッグストアで買ってきた諸々がリビングに置きっ放し。
今使わなきゃ…いつ使うンだって話。
先に冷却シートを冷蔵庫に放り込んでおいたのはグッジョブだ、俺。
……じゃなくて。
とにかく着替えはどさくさ紛れで済んじゃったし。
後は………薬。
ビニール袋から総合感冒薬とスポドリ取り出して。
顆粒は苦手かもって錠剤にしたけど。
今のニノにどうやって
飲ませよう?
その手段を頭ン中での検索しても…ヒットするのは1件だけ。
『mouth-to-mouth』
"やる?"
"やらない?"
それしか思いつかないから…
"やーる"
