テキストサイズ

飴と鞭と甘いワナ

第4章 scene Ⅳ



先に冷やしておいた冷却シートを手にも一度ニノの傍へ戻る。

辛そうに俯せて。
身体を小っさく丸めてる。

ソッと肩を揺さぶりながら

「………ニノ?」

呼び掛ければ辛うじて聞き取れる薄っすい反応。

「………ンゥ…」

「熱出てるからさ…」

うっすら開いた目に冷却シートをチラ見せて

"貼るよ"
口パクすれば返事代わりに目が閉じた。

冷たいブルーのシートをおデコに添わすとニノ肩がフルリと震える。

片目の目蓋がホンの少しだけ持ち上がって俺を見てからホゥって熱い息吐く。

布団の中から出てきた左手が何かを探すみたいにモゾモゾしてるから

「どうしたの?」

人指し指で手の甲をなぞったら…そのまま、その指がニノにギュッと掴まえられた。

ええ―――っ!?

口の端がニンマリ上がってるから……この確信犯め。

この期に及んで、まだ俺を揶揄うの?

クソッ やられてばっかじゃん、俺。

いやいや……こんな前菜程度で動揺してどうすンだ?

まだメインディッシュが残ってんだぜ。

そう薬を飲ますって一大事が。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ