
飴と鞭と甘いワナ
第6章 HurryUp! episode 1
そして
俺の肩に手を置くと
「…時間空くと面倒だよ」
ふ、と息を吐きながら、そこをポンポンと軽く叩いた
「でもさ…」
すぐに追いかけた方が良いのは分かるけど
やっぱり腑に落ちないのも事実な訳で
「雅紀の気持ちは分かるけどね、
…アイツが拗ねると面倒じゃん?」
ー…色々とね
翔ちゃんがそう言って悪戯っぽく笑う
そうだよ
にのの性格は、俺が良く知ってる
極端に寂しがりのくせに意地張って我慢して
平気な振りをする奴だ
だから俺だって、付き合いがあるからこそ
にのが後輩をしょっちゅう呼ぶのも仕方ないと思ってた
そりゃ、いられるならにのと2人でいたい
だけど働く環境には、円滑に進める為のそれは必要不可欠で
にのだってそんなのは充分に分かってるくせに
…なんてウダウダしてたら
「二宮さん、体調不良で先に帰られましたよ」
楽屋ににののマネージャーが来て、そう伝えてきた
「何か…様子がおかしいので、後で連絡してみ…」
「いや、俺がにのんち行くからいいよ」
マネージャーの言葉を遮って、俺は鞄を手に取った
