
飴と鞭と甘いワナ
第6章 HurryUp! episode 1
何だか嫌な予感がする
やけになると、にのはたまにとんでもない事をやらかすから
あんな状態で出て行って、真っ直ぐ家に帰るとは思えない
「ほら…すぐ行かないから」
呆れたように溜め息を吐く翔ちゃんに「ごめん」と謝って
俺は早足で楽屋を後にした
にのは確か、今日は車で来てた筈
俺の隣の定位置に止まってるのを、朝確認してる
もしかしたら、と思って駐車場に向かったけど
期待むなしくにのが置いてたそのスペースは既に空いていた
車を置いていなくなれば、ここからだと大抵行く場所は決まってるから、容易に捜せると気楽に考えてたけど
車を出しているなら話は別だ
とりあえずにのんちに行ってみるしかない
でもこれで家にいなかったら…?
にのが行きそうな場所の検討が付かない
家にいてくれ、と一抹の望みに掛けて
車のエンジンを掛けた
走り出そうか、としたと同時に1通のLINEが入った
翔ちゃんからだ
一端ブレーキをいれて確認すると
『にのが無事かどうか、連絡しろよ。皆心配してるぞ』
怒りのスタンプ付きで、こう書かれていた
