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飴と鞭と甘いワナ

第2章 scene Ⅱ


フンって鼻息荒くズカズカ奥へ行くニノの背中に付いていく。

まだ馴れないんだよな、
こう云うキラキラしい世界。

ニノの厚意に……

そ、あくまでも"厚意"、うん。

図々しく甘えて
どんくらいになんのかな。

"第一印象最悪"
が返上されたのは意外に
早かった、てのは記憶してる。

カットモデルなんて
未知の世界だったケド。

アイツの手に掛かって
変わってく俺……嫌いじゃなかった。

髪だけじゃなくて。

時には服や靴まで
コーディネートしてくれたり。

今の仕事の面接が
一発OKだったのも
そのおかげだと思ってる。

………感謝だよね。
……感謝してます。

ま、ニノにとっちゃあくまでも"厚意"の一端で。

それ以外の何物でもなく。

ましてや "好意" ………なんて微塵もないんだろうな。

自分で言ってて軽く凹む。

俺の頭の中で
"こうい"
って言葉はとっくに
"好意"
に即、変換されてんのに。

N「……おい」

訝しげに俺を見るニノ。

手招きが
"早くしろ"
って怒ってる。

あぁもう何だかなぁ

この不即不離な関係

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