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飴と鞭と甘いワナ

第7章 episode 2


N side

俺をそんなに責めンならオマエだってそうなんじゃないの?

その目に俺とは違う誰を映した?

その唇で俺以外の誰を味わった?

その指を俺じゃない誰と絡めた?

このベッドルームで見上げた視界にはいつだってオマエだけなのに。

他人を連れ込んだと思われてるそんな場所でオマエに組み敷かれてるなんて屈辱以外の何物でもないわ。

疑惑経由の思い違い、疑われた腹立たしさなんかとっくに通り越してるし。

今はただただ真っ白なだけ。

なんでこんなコトになっちゃってンだろ。

施される性急で乱暴な愛撫。

耳から胸へ。

執拗な手技に嬲られて背中が勝手に撓(しな)ってく。

「ああっ…や、ダメ…!」

シャツで括られっ放しの手首が痛いンだよ、馬鹿。

どこもかしこも触れられれば触れられるほど気持ちは淡々と冷えていく。

"愛撫"と云う名の"愛無"に心は何も感じないねぇんだよ。

それなのに熱を孕んで勃とうとする俺のモノ。

硬く屹立してく節操の無さが滑稽でマジ ウケる……ホント 反吐が出る…はぁ 泣けてくる。

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