
飴と鞭と甘いワナ
第7章 episode 2
だけどさ…
俺だってヤラれっ放しなワケにはいかないから。
オニからは逃げなきゃ、鉄則だろ、うん。
縮こまる様にギュッと引き寄せた膝。
アイツから見りゃ股間を隠してるって絵面なんだろうな。
だから……
擦り合わせてる足を開こうとする相葉さんの手が膝に掛かる。
………………来たっ!
「マーくん」
思いっきり甘ったるい声で呼べば脂下がる その顔。
馬ぁ鹿 馬ぁ鹿…っとに馬鹿。
くらえ!
曲げてた膝を巴投げ張りにグンと蹴り上げた。
「グワッ!」
カエルみたいな声を発した相葉さんが反転して俺の上から無様に落ちた。
伸し掛かってた重みからの解放され してやったりとほくそ笑む俺。
「マーくん…」
"…だいじょぶ?"
ワザとらしく小首傾げて。
仰向いてる顔を覗きこむと…放心してた目がギョロと俺をロックオンした。
ヒャッ!!
肝が冷えるってこう云うコトかも。
真っ黒い瞳にドス黒さが更にプラスされてる。
あー 君子危うきに近寄らず…なのに。
大根役者じゃん、ニノミヤさん。
