
飴と鞭と甘いワナ
第7章 episode 2
A side
にのの真似をして手をヒラヒラさせて
ミラー越しに、遠ざかる姿を見送ってやる
…ちょっと惜しい気はするけどね
やたらと、にのもその気になってたし
本当ならあのまま抱いてしまいたかったけど
…腹を蹴られた瞬間に、気が変わった
追い詰めるまで追い詰めて
にのが快楽に溺れる直前に突き放した
ここまで来ると、最初の喧嘩の事なんてすっかりどこかに行っていて
何だかもう、単なる意地の張り合い?
…分からないしどうでもいい
とりあえず、今は俺がにのから逃げるだけ
今度はにのが追いかける番
“おーにさーんこーちら“
頭の中は、それだけがひたすらリピートしている
早く、来い
俺を捕まえたら、次は必ず
お前が壊れるまで抱き潰すから
俺の事だけしか、考えられないようにしてあげるから
だから早く…
俺を見つけて?
もう、疼いて仕方ないんでしょ?
だけど今回は違う
にのみたいに行方は眩まさない
家に戻って、俺と言う檻の中に
にのが飛び込んで来るのを待つだけだ
どうせにのだって
最初はうちに来るに決まってる
“逃げる気なんかないくせに“ って
どこかで思ってるんだから
