
飴と鞭と甘いワナ
第7章 episode 2
家に入ってすぐに、こないだにのと一緒に開けたウイスキーをグラスに注ぐと
氷を3つ浮かべて、軽くグラスを回して
…それを一息に飲み干した
アルコールの通った喉が熱い
殆どストレートのそれは
…別に味わいたい訳じゃない
ただ、もう車には乗れない意思表示
これ以上は逃げるつもりがない、証
…にしても
あのにの、エロかったな
降参した途端に豹変しちゃって
平然を装ってたけど、かなりヤバかった
気が変わったとは言え、あんな姿見せられたら
たまんないっつーの
そもそも俺だって、準備万端な状態だったんだから
今だって、収まっているとは言え
油断すればあの痴態を思い出せば、あっという間に元気になる寸前
でもさ、俺もなかなかの役者じゃない?
だってにの、本気で焦ってたよね
俺が、実はかなり我慢してるなんて分かってなかった
じゃなきゃ、あそこまでムキにならないでしょ
「ふふ」
思わず声に出して、一人で笑ってしまった
空になったグラスにまた琥珀色の液体を注ぐ
…残っていた氷が、小さく音を立てる
まるで一緒に歌ってるように
“おーにさーんこーちら…“
