
飴と鞭と甘いワナ
第10章 2匙め
A side
今、正に今日の成果が仕上がろうって時に………
"魚介類がダメ"
二宮さんの一言に唖然とした。
いや、確かに…うん…何か言いたげしてるなぁって瞬間が何度かあったケド。
いい歳した大人なんだからさ…言ったら?って。
汲み取ってやる優しさ?気遣い?…どっちかっつーと意地悪な気持ちもあったかも。
ワタワタさせたらどんな顔すンのかなって。
いつ、どのタイミングで何言うかって待ち構えてたら
"何かしたか?"
なんて、まさかの斜め上な反撃。
"誤解だ"
俺のが予想外の展開にワタワタ。
ま、結果…俺が『動』つまり『食べる』のを全部を引き受けて、二宮さんが『静』の『書く』を受け持つってコトに落ち着いた寸法。
何か丸く収まったってのに……妙に腑に落ちないのはどーしてだ?
悶々と鍋を睨んでると講師の大野さんが "どうよ?"って相変わらず軽ーい調子で味見して。
オマケに『恋人もイチコロ』…なんて俺にとっちゃある意味地雷的発言をぶちかましていきやがった。
途端に美味い匂いも禍々しい臭いになるから言葉って怖い。
