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飴と鞭と甘いワナ

第10章 2匙め



忌々しい湯気の中に彼女のつっけんどんな顔が浮かぶ。

ああ折角 二宮さんとのぎくしゃく感から脱却なるか!?と思った矢先の地雷。

溜め息吐くついでにチラ見すれば二宮さんも何か曰くありげな顔つきだし。

地雷踏んづけた当の講師はさっさと教卓へとんずらしてるし。

イライラが募る俺の顔が余程怖いらしく、二宮さんの落ち着かない目が配られたレポート用紙と俺の顔とを行ったりきたり。

「相葉ちゃん達…」

"…出さないと帰れないよ…帰りたくないの?"
紙をヒラヒラさせる大野さんの暢気な声にイラつきはMAX。

こんな事態での試食なんて砂を噛んでるも同然。

碌すっぽ味なんか分かりゃしない。

「……貸して」

二宮さんからプリントを引っ手繰ると

<今日の感想>
『魚、トマト、オリーブオイル味 以上』

書きなぐって教卓に叩きつけると

「帰ろう」

二宮さんの腕をグイと掴んでそのまま教室を飛び出した。

後ろから

「お疲れ〜来週もヨロシク」

そんなダラけた声に、思わず振り向きざまにアカンベーし返したら二宮さんがクスと隣で微笑った。

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