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飴と鞭と甘いワナ

第10章 2匙め


捨て台詞吐いた勢いで飛び出した料理教室。

グイグイ駅前まで二宮さん引っ張ってきたはいいけれど。

ゼーゼーと荒い息で俺の腕に縋る彼を見て

「……ゴメン」

近くのベンチに抱えるようにして座らせた。

ハァハァ息切れしてる背中を擦りながら

「ホント…マジで……ゴメッ」

“…いいから“
そう云わんばかりに俺の口を押し止める細い指。

「………こん…なに走っ…たの…いつ…ぶり……だろ」

アハハと さも可笑しげに空を仰ぎながら笑って

「相葉さんって…」

クルンとした薄茶色の目がこっちを向くと

「意外に強引なんだね……もっと冷静沈着なのかと思ってた……」

“……意外だわ“
クスッとまた口許を綻ばせるから

「あ、……笑えン…だ?……痛てぇ」

いきなり向こう脛蹴飛ばしてくるのがヒドくない?

「アンタ、何かと失礼だな」

ギンと睨みながら人差し指突きつけ

「物言い注意しなよ…でないと…」

でないと?

“……………好いオトコが台無し“
モゴモゴ呟いて。

耳を赤くして俯く横顔。

は?…えーと 何て言った?

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