
飴と鞭と甘いワナ
第10章 2匙め
A side
二宮さんからの名刺をめでたく手に入れ、剰(あまつさ)えアフターのお誘いまで受けて、一気に距離が縮まろうかって時なのに。
珍しく早い時間に彼女からの呼び立てが留守電に入ってたコトに内心
“しくった“
そう思った。
俺は基本 先約優先主義なオトコ。
性分としてそこは譲れなくて。
だから、しようがなく
「ゴメン 今日は…」
大人対応な涼しい顔してるケド、腸煮え繰り返ってる…融通の利かない自分に。
だから つい
「二宮さん 可愛いから変なのに絡まれないかと思って」
自棄半分 揶揄い半分で言った言葉にプワッと赤くなって。
鍋やら皿をガシガシ洗い出す…そんな二宮さんの顔見たら尻の辺りがモゾモゾして…マジでヤバい。
「…何言ってんだよ、バカ」
ツンと口唇尖らせて横向くとか。
赤くなったり 拗ねたり クルクル変わる表情に目が離せない。
オマケに危機感皆無に俺のが焦る。
居ても立っても居られずって正にこの状況だろ。
だから
「あのさ…」
“…これ俺の番号“
プライベートのケー番を画面に表示して
「何かあったら電話して」
