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飴と鞭と甘いワナ

第2章 scene Ⅱ

トーンの落とされた声。

いつもと違うニノ

何かを封じ込めるみたいにガーゼのタオルが目に掛けられた。

シャワーの音が聞こえる


程好い加減のシャワーとニノの指が髪を濯(すす)いでく。

微かにスピーカーから流れてるjazzのリズム。

それにシンクロする指先が鍵盤を弾く様にこめかみを叩く。

緩くスイングしてるニノが時々俺の身体に当たる。

その度に俺の股間が微妙に反応するから、正直"止めて"って言いたいけど。

ご機嫌なのを邪魔するのもなぁ

…………………………えっ?

ニノの匂いが間近になって。


寄り掛かるニノの身体。
鼻先にタッチする胸元。


グルリと回された手のひらが項を持ち上げた。

執拗に後ろ頭を行ったり来たりするシャワーヘッド。

いつもこんなだっけ?
こんな密着度、高かった?

「……ニ、ニノ?」

"何?"
って感じにシャワーが離れて

「あ、熱くないや、うん」

何 言ってンだ、俺。

"あ、そう"
って感じにまたシャワーの飛沫が当たる。

しどろもどろ、支離滅裂。

目が見えてない分、
感覚が変に研ぎ澄まされて、
あれこれ変に意識して。

これで挙動不審になるなってのが無理でしょ!

俺は何も悪くない!

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