
飴と鞭と甘いワナ
第3章 scene Ⅲ
何となく持たない間をお茶をがぶ飲みして誤魔化して。
「どんだけ飲むんだよ… 腹壊すぞ」
取り上げた湯呑みの代わりに食べない箸休めの小鉢を押し付けられた。
「なぁ…」
ン?
て目で返事。
「…賭けしよっか?」
急に何言い出すんだか。
昼飯 集(たか)る気満々なンが見え見え。
「ヤダ」
給料日前だし。
「あそ…」
ありゃヤケにアッサリ引き下がる?
…かと思いきや、一気に呷った湯呑みをタンッと置いて
「…連敗王」
ニヤッと笑われたらムッとするし…そうしたらヤるしかないじゃん。
…で、結果。
小っさなガッツポーズのニノ。
「ラッキー!昼飯代浮いた」
ちょっとした一言に凹む。
ニノにとってそう云うお遊び的な対象でしかないんだ、俺って。
いつからこんなネガティブになっちゃったんだろ。
そんな俺の気持ち知ってか知らずか。
タイミング良く運ばれた木の葉丼へヤツは行儀良く両手を合わせ
「いただきます」
割り箸を口に挟んでパチンと割った。
