テキストサイズ

飴と鞭と甘いワナ

第3章 scene Ⅲ



ノロノロと伝票握って二人分のお会計。

あーぁ

給料日までどうやって食い繋ごうかな。

夏目さんの枚数と小銭の数を頭に指折りしながら外へ出る。

「…………あざーす」

えっ?

見れば店の脇に置かれた一斗缶の吸い殻捨ての前にニノがしゃがんでた。

尖った口唇に
"遅せーよ"
ってぶー垂れられた。

もうとっくに『gelb-grun』へ戻ったもんだと思ってたのに。

「俺、そこまで薄情じゃねーよ」

!!

また頭ン中読まれたっ!

何で?何で?何で?

目の前のニノは意味深に笑ってる。

「…っンとに雅紀って分かり易すぎ」

クククッて笑いながら
"吸う?"
って傾けられたタバコのパッケージ。

飛び出た一本を遠慮なく摘まんで咥えたら直ぐに火の点いたライターまで出てきた。

キャバ嬢並みの早さに怪しさmaximum。

「何も企んでねぇって」

いやいやいや………その発言が既に怪しい。

ジリジリ迫るニノ。
ズルズル後退る俺。

「何 ビビってんの?」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ