
飴と鞭と甘いワナ
第3章 scene Ⅲ
「俺がトランプ苦手なの知ってるだろ?」
そこは敢えてババ抜きとは言わない、うん。
"じゃ何にする?"
どさくさに紛れて俺の右手に空き缶押し付けんじゃねーよ。
「そーだな……」
ちょっと斜交いに首傾げて
「ボーリング…とか…あ、ビリヤードは?」
どっちもニノと何度か一緒してるから
「ビリヤードねぇ……」
おっ食い付き良好。
キタキタって感じ。
ボーリングはホントもう話しにならんってくらいの有り様だったから、俺。
ビリヤードは3回に1回は俺が勝ったり、そこそこ競り合いもするから。
多分ニノは
"ビリヤードなら…"
ってなるはず。
「…ま、ビリヤードだったらイイ勝負になるんじゃね?」
フフンと笑ってるその鼻っ柱へし折ってやる。
実は俺、ビリヤードは得意中の得意。
セミプロの…あ、行きつけのpool-barのオーナーに
"何で試合出ないの、勿体ない"
なんてお墨付き貰ってるくらい。
意外でしょ…ククク。
ニノには敢えて見せてない俺の秘密。
