
飴と鞭と甘いワナ
第3章 scene Ⅲ
何だか浮かない気持ちのまま、店に戻って
仕事モードを取り戻そうと、カウンターで予約状況をチェックしてたら
「…何かあった?」
いきなりどアップのオーナーの大野さんが
目の前に、現れた
「うわっ!!」
「んふふふふ」
楽しそうに笑ってるけど、俺は楽しくない!
「気配消すの、止めてくれません?」
ジロリと睨むけど、全く気にしないで
カウンターに顎を乗せて俺をじっと見ている
「消してるつもりはないんだけどなぁ
…ニノが、気付かないだけだと思うけど?」
「はいはい、それはどーもすいませんね」
「んふふふ」
この人と絡むと疲れる
どうにも調子を狂わされてしまうんだよ
こういう時は相手にするのはやめるに限る
…そう思って背中を向けた途端
「相葉ちゃんと何かあった?」
「は?」
何だよ “相葉ちゃん“ って
何でそんな馴れ馴れしい呼び方してんだよ
「大野さん、何 “相葉ちゃん“ って…」
「え?呼びやすいから」
何言ってんの?って…首傾げないで!
