
飴と鞭と甘いワナ
第3章 scene Ⅲ
スマホを後ろポッケに入れて。
ちょっと浮かれてる俺。
相当ニヤけてたのかな。
アシストに付かせて貰ったドライバーさんに
"彼女?"
なんて冷やかされて。
違うって拒否る前に
"あり得ないって、こんなヤツに"
強烈な野次の投入。
悔しーって思いながらロッカールームを飛び出した。
*
「…彼女じゃねーし」
独り言ちながら背負ったリュックを揺さぶり上げる。
"金曜の夜でもいい?"
リフレインする声。
頭ン中は昨夜のまんま。
時間はニノの好きに…って言ったら
"前日にメールする"
って。
だから…
"うん"
って。
"待ってる"
って。
……冷静だったのにな。
ニノの声聞いてるうちにテンション急上昇。
俺ってマジ安上がり。
気づけば通話の切れたスマホ抱き締めて、布団の上でジタバタってた。
ホント…待ってる、メール。
"前日"
だけじゃなく
"毎日"
にならないかな…なんて調子良い事を頭の端っこで思ってたのは内緒。
