
飴と鞭と甘いワナ
第3章 scene Ⅲ
アンティークなドアを開くと…其処はもうJapanじゃない。
品良く落とされた間接照明。
滑らかな光沢の羅紗をピンと張ったpool table。
センスいいバーカウンター。
二人の趣味の好さと拘(こだわ)りにはホント恐れ入る。
SU「…ン?雅紀?」
咥えタバコのスバルくんがカウンターの中でお約束の競馬新聞広げてる。
会釈する俺をグイグイ押しながら
S「相葉くん…とりあえず肩慣らしせぇや」
預けてあるキューケースを強引に渡されて。
手がシッシッと追い払うし、
目は
"向こう行っとけ"
て変なウィンクされて。
俺よか信ちゃんのが何かキョドってんじゃん。
ま、ここは任せよっかな。
*
ガコン…
ボールがポケットに落ちる。
タップにチョークを付けながら横目で二人を窺い見る。
カウンターに両肘を預け、凭れながら斜め後ろのスバルくんへ一方的に話してる信ちゃん。
水割りを口にしながら何か頷くスバルくんの表情は見えないケド。
どうか上手く事が運びますように。
