
飴と鞭と甘いワナ
第3章 scene Ⅲ
N side
「…頭、痛ぇ…」
ガンガンする頭と、船酔いのような気持ち悪さで目が覚めた
少し離れた場所には、ブランケットに包まって丸くなってる…大野さん
そうだ
昨日、勢いで雅紀に電話した後で
何だかいたたまれなくなって
夜中だってのに、大野さんに電話して
……出るまでしつこくコールしたんだっけ
そして、無理矢理押し掛けて
酒の力を借りて、寝落ちしそうな大野さんを叩き起こしながら
何か色々言った事は、覚えてる
あー…
大野さん起きたら、何て言おう
謝るしかないのは分かってるけど…、どこまで話したんだか覚えてない
突っ込まれたら、逃げ切れない
「んー…」
モゾモゾと、ブランケットが揺れた
「あ…大野さん、起き」
「んあー…眠い!もう午前中は休み!やんないから!」
俺に最後まで言わせる事なく、拗ねたように叫んでから
再びブランケットに潜り込んだ
いやいや
アンタ、オーナーでしょ
いくら俺が悪いとは言え…それはダメだと思いますが?
「潤に電話しといて!」
「…了解」
とは言え……こうなったら、俺は逆らえない
