
飴と鞭と甘いワナ
第3章 scene Ⅲ
「実はさ……」
" ビリヤード、得意中の得意なんだ "
一応控え目には言ったンだよ?
なのに…
ニノは
"出来レースだ"
なんて口唇尖らせてるし。
怒らせた?って気を取られて。
だからさ…
ニノの眇めてる眼が歪(いびつ)なのに俺は気づいてなかったンだ。
「……で、雅紀クンは何をご所望?」
ドカッと壁際の椅子に座って。
イラっとした口ぶりで高飛車られたら、いつもならビビっちゃうけど。
今日の俺はちょっと違うよ?
咥えて吹かすタバコ摘まんでニノから取り上げれば
「ちょっと…何すンだ…………雅紀?」
無防備な鼻先に距離ゼロまで顔を近づける。
ニノの匂いが鼻を擽る。
「勝者の特権……」
顎先のセクシーな黒子を指先でクイッと掴まえて
「………………キスさせろ」
素の声で囁いた。
俺の地声ってば低くて掠れてンの。
これもニノには聞かせたコトない秘密。
さぁ…………………どうよ?
「…………雅…紀ぃ」
ええーっ!!
腕が首に巻き付いてる!?
薄っすらピンクな目尻に
潤んでる眼。
かなり………………クる。
つか………エロい、ニノ。
