
飴と鞭と甘いワナ
第1章 scene Ⅰ
A side
畳に寝っ転がって広げた右手のちょい斜め上…放ってたスマホがブルった。
来た!
ニノからだ。
クルンと反転。
腹這って画面をタップする。
『まだオーナーいるから。
21時半にして』
お、今日は15文字以上ある。
機嫌悪くはないっぽい。
大概は
"無理" "嫌" "止めろ" "馬鹿"
の否定四択からチョイスされた つれないのが一つ…デカい画面に来るだけ。
しかも反応超遅いし!
だからこう云う希少メッセは
絶滅危惧種並みの扱いで即保護しておく、うん。
でないと後から
"知らぬ存ぜぬ"
を平気な面で噛ますからな、アイツ。
約束の時間まであと少し。
さっき買ったありがたい(←拾った100円だから)缶コーヒーと俺的お薦めマンガを一冊…リュックに放り込んで。
も一度寝そべれば、伸びた髪が畳の上で擦れて汗の匂いがした。
「ニノ……………」
………………早く逢いたい。
