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飴と鞭と甘いワナ

第3章 scene Ⅲ


N side

ゾクゾクした。

雅紀から、紡ぎだされた低い声も
顎を持たれて上を向かされた時も

"キス、させろ" って言われて
つい俺も今まで見た事のない雅紀に酔って

首に手を回してねだるようにしてみた。

…一瞬、このまま身を任せるのもアリかも、なんて考えが過ったから。


だけど、その中でもどこか強引さに欠ける仕草に気付いて

わざと唇を舐めてやったら

…慌てふためいちゃうんだもん。

あれで雅紀がもっと強気で来たら、どうなってたかは分からないけど

もう遅い

俺のスイッチは切られたんだよ。

…誘ったのはお前だからね?




****

まさか雅紀がセミプロ並みの腕を持ってた事は
全くの予想外だった。

だからビリヤードを選んだ辺り、セコい奴だとも思ったけど

…勝負は勝負。

これは俺も認めなきゃいけないとこだけど
…つい、拗ねた態度も取ったけど

今のこの状況。

まさに俺からしたら、雅紀は引っ掛かった獲物。

"負けた" って立場を利用してあげるよ


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