
飴と鞭と甘いワナ
第3章 scene Ⅲ
N side
ゾクゾクした。
雅紀から、紡ぎだされた低い声も
顎を持たれて上を向かされた時も
"キス、させろ" って言われて
つい俺も今まで見た事のない雅紀に酔って
首に手を回してねだるようにしてみた。
…一瞬、このまま身を任せるのもアリかも、なんて考えが過ったから。
だけど、その中でもどこか強引さに欠ける仕草に気付いて
わざと唇を舐めてやったら
…慌てふためいちゃうんだもん。
あれで雅紀がもっと強気で来たら、どうなってたかは分からないけど
もう遅い
俺のスイッチは切られたんだよ。
…誘ったのはお前だからね?
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まさか雅紀がセミプロ並みの腕を持ってた事は
全くの予想外だった。
だからビリヤードを選んだ辺り、セコい奴だとも思ったけど
…勝負は勝負。
これは俺も認めなきゃいけないとこだけど
…つい、拗ねた態度も取ったけど
今のこの状況。
まさに俺からしたら、雅紀は引っ掛かった獲物。
"負けた" って立場を利用してあげるよ
