
飴と鞭と甘いワナ
第3章 scene Ⅲ
本当は知ってるけど
「構え方から…教えてよ」
敢えてそう言って、ぴったりと寄り添う。
構えの姿勢は確かに様になってるし
服装のせいか、腰回りが…ヤバイ。
「姿勢って大事ですよね?」
わざと敬語なのは、雅紀を煽るため。
「アナタの体位…じゃなくて、体勢、真似させて…」
後ろに回り込み、雅紀の耳許で囁いた。
キューを持ったままの雅紀は完全に動けない。
突き出したような腰は、俺を誘っているだけにしか見えなくて。
口許が緩むのを抑えもせずに
そっと肩からサスペンダーを外していく。
…柔かなシャツの中に、迷うことなく手を差し入れた
「…………ニノ?」
怯えたような、戸惑った声の雅紀が首だけをこちらに向けたから
「…………捕まーえた」
笑っている俺の顔は、どんな風に雅紀に映ってるんだろうね。
だけど、どことなく冷静な感じに
「…なーんか、余裕あるじゃん」
俺の中のSな部分が騒ぎだした。
