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Cream Puff

第1章 1

~ノンリアル。~

いつからか、ニノが好きだった。

人見知りの俺とニノは、あんまり話さなかったけど。

中学校の頃、ニノがいじめられてて。

泣きもせず、辛そうでもなく、一人で、ビリビリに破かれた教科書やノート、それに、引き裂かれた運動着。

それを見て、ちょっと困ったように眉を下げて溜め息をついていた。

「…ニノ。」

「相葉くん…」

そんなニノを見て、声をかけたけどやっぱりなんか、うまくいかなくて。

ニノは、ビリビリに破かれた教科書やノート、引き裂かれた運動着を落とさないように一人で、道路の端っこを歩いて帰っていった。

そんなニノを見たら、居ても立ってもいらんなくて。

ニノを追い掛けてた。

当てもないのに。

…だけど……ニノはいつもの場所にいた。

小学校の頃、よく遊んだ場所だった。

「ニノ。」

声をかけたら、ビクッとして肩を縮こませてた。

「辛かったら、言ってよ。俺ら、友達じゃん。」

なんて、アニメや漫画みたいに、在り来たりな台詞を言ってみた。

「……泣かないよ。泣いたら、負けじゃん。」

…強い。

そう感じた。

ニノは、強いんだなって。

それに、って続ける。

「俺が泣いたら、相葉くんも泣くじゃん。」

確かに、なんて感心してる間に、ニノはまたビリビリになった教科書やノートを見た。

「お金、もったいないや。」

……初めて見る、涙ぐんだ顔。

「…意地張ってないで、泣いてよ。」

ブランコに乗ってるニノを抱き締めた。

「……。」

そのまんま、時間だけが過ぎた。

…全然泣かねえんだもん。

ニノって、強い。

「…辛い。」

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