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Cream Puff

第1章 1


ポツリと、聞こえた。

だけど、芯の通ってるしっかりとしてる声。

「…辛いよ。やっぱり。相葉くんは、わかる?」

うっすらと、涙を浮かべて俺を見た。

…涙ぐんでるんじゃなくて、もうほんとに泣きそうで。

……俺だけ特別に…ってこと?

「わかって、くれる?」

「…うん。辛いよね。」

ニノが辛いのは、俺だって辛いんだよ。

ロクに話さなくたって、ずーっと一緒にいりゃわかるよ。

「どうせ収まるから、我慢すりゃいいって思ってたんだよ。だけどさ…全然収まんなくて…それよか、どんどん悪化してるんだよ…。」

ポロっと溢れ落ちた、綺麗な雫。

…あ。

初めて見たニノの涙。

…守りたいって思った。

多分これが、ニノに特別な感情を抱いた瞬間。




「…相葉くん?」

「んぇ?」

…あ、なんか寝てた?

「もー、聞いてる?」

「ごめんごめん。なに?」

「……はぁ。…今度のデートのこと。」

「いいよ。どこでも。ニノと一緒なら。」

「…それがいっちばん困る。」

「そんなに?笑」

そうだよ、なんて怒ったように言う。

「あー、じゃあさ、ニノん家でゲームしたいな。」

「いいよ。俺、強いからね?」

「んふ、望むところだよ。」

……あ、そういやゴム切らしてたっけ。

あとで薬局いかなきゃ。

end

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