針の山
第1章 針の山
彼女はそのサイトで、他人を
呪う方法を見つけたようです。
その方法とは……
相手の髪と爪を用意し、
それを袋に詰め刃物を突き刺す
と言うようなものでした。
使用人である彼女には、主人の
髪の毛や爪などは容易に手に入り
ます。
彼女は本気で効果があるとは
思ってはいませんでしたが、
『人を呪わば穴二つ』と言う
言葉があるように、呪詛返しを
恐れ、用意周到に事を進めました。
まず、用意した爪と髪の毛を
使って針山をこさえました。
それは、真っ赤なフェルト地で
ハートの形にレースをあしらった
とても可愛らしい物でした。
それを主の孫娘に「誕生日の
贈り物」だと言ってプレゼントを
しました。
手芸好きな孫娘は、大そう
それを気に入ってくれたようです。