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針の山

第1章 針の山


「でも、昔はコーヒー豆なんて
そう易々と手に入る物ではなかった
ですからねぇ……」

「そうね。じゃあ、昔は何を使って
いたのかしら? やっぱり、ただの綿?」

「昔はね、人の髪の毛を使っていたん
ですよ。今でも自分用に使っている人は
いらっしゃるんじゃないですかねぇ……」

「ええ⁉ それは……何か不気味ね」

 ホラー小説や映画の中で不気味な
アイテムとして使われる髪の毛に対して
私はあまり良い印象を持っていない。

 自分の頭から生えているものだけれど。

 抜け落ちてしまうと、どうも別な物の
様な気がしてしまうのだ。

「そうですか? 自分の抜けた髪の毛を
集めておいて作っておられる方は
今でもよくいらっしゃいますよ?」

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