針の山
第1章 針の山
駐在さんは、ご遺体には傷もなく、
不審な点は見当たらないと仰って
おられたのですが、ご親戚の方から
「病理解剖に回して死因を究明して
欲しい」との申し出があり、
大学病院の方へご遺体は送られました。
そこで明らかになった事実は、
非常に驚くべきものでした。
それは……
全てのご遺体の心臓に、無数の針が
突き刺さっていたという事です。
外傷は全くと言っていい程、なかった
筈なのに、心臓には針が所狭しと
刺さっている。
しかも、その針は縫い針の様な
真っ直ぐな物だけではなく、
待ち針の様に頭の大きな針まであった
そうなんです。
一体、どうやって?
その方法が分からずに、結局は
事故という形になりました。
針が心臓を突き刺す病気もなければ
外傷がない為、故意に誰かが手を下した
とも言えなかったからです。