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虞犯少年

第31章 本当は気付いてた




「明日香になら何でも教えてやる。欲しい物も全部やるから、離れんな。愛してんだよ」


「…うん。分かってる」


「ならいい。もう明日香には絶対誰も近付かせねぇ」



低い声はまだ怒りを含んでいて、それに頷くしかなかった。

嵐は私にさっきの出来事の真意を話し出す。



「俺を狙う奴らは片っ端から潰してきた。中には明日香を狙う奴らも出てきて前より警戒して動いてる。俺は別にチームとか入ってねーし、新が譲るっつった天龍一家も断った。俺にはそういったもんは合わねぇ。入ってなくても俺の為に動くって奴はいる」



九条嵐の名前にいい意味でも悪い意味でも惹かれる人はたくさんいる。



「鵺王が俺を狙ってんのは前から知ってた。今日明日香を拉致って俺一人をあそこに呼び出そうとしてんのも情報が入った。一人で行けばもっと早く動けたのに明日香が絶対無事でいられる方法考えたら一人で動くよりも人数集めた方が得策だ」



それがあの光景の理由。嵐が一人ではなかった訳。

嵐は私を第一に考えてくれていた。



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