
虞犯少年
第11章 切り裂いて笑う
「連れてんの彼女か?」
「そーだろ。肩抱いてんだし」
いかにも嵐の仲間にいそうな2人組は観察するかのように黒目を動かした。
かなり視線を感じる。
私まで見られているんだと思うと変に手に汗をかく。
自分が知らない人にまで名前も顔も知られているなんてどんな気分なんだろう。
あまりいいものだとは思えないけど。
その声たちは嵐の耳に入ってないのかもしれない。
だって嵐はその人たちに見向きもしない。
足が進む。私の足も嵐に置いていかれない程度に足早になる。
隣にいる私には聞こえてもいいから嵐には聞こえなくていい。
ケラケラ笑う声も、「女、たいしたことなくね?」という馬鹿にしたような声も。
耳を塞いだら聞こえない。
たいしたことないなんて自分がよく分かってることだし。
だから大丈夫。なのに――
