
虞犯少年
第14章 キミの肌に噛み傷を
「―――あ」
自分でも頼りない声を漏らしてしまったな、っと少し後悔。きっとアホ面をしてること間違いないんだろうな。
だって目の前には嵐のお兄さん…新さんが居るんだから驚かない訳がない。一度会ったとは言ってもアレは顔を合わせただけで、ほんの一瞬にすぎなかった。
"弟をよろしく"
あの言葉が蘇る。
ゆっくり距離が縮まって新さんは小さく口元に笑みを作った。
「嵐の女、だよね?」
確信に近い強い疑問。
それと同じくらい新さんの瞳もまた鋭く、強い力を持っている。
「―――…はい」
そう答える以外、道なんてないことを私はよく知っていた。
だって私は嵐の女。嵐のもの。
