パパ、もう一度抱きしめて
第6章 兄と妹
「ただいまー」
リビングに入ってきた美緒に、俺は胸のいらだちを隠せなかった。
「誰に送ってもらったんだ?」
「見てたの」
「ああ。あの車からして男だよな」
「会社の先輩だってば」
「…とにかく風邪ひくから、先風呂入れ」
「うん…」
美緒は俺の機嫌の悪さを察してか、おとなしくバスルームへ向かった。
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風呂から出てきた美緒は、シルクのパジャマ姿だった。フワフワした茶系の髪は、洗い立てでしっとりと背中に伸びている。
美緒は冷蔵庫から水のペットボトルを取り出すと、ダイニングの椅子に座って飲み始めた。
「美緒、こっちへおいで」
ソファーから声をかけると、
美緒はビクッと肩を震わせ俺を見た。