パパ、もう一度抱きしめて
第2章 恋心
夜。私は新しく始まった、タッキー主演のドラマを見ていた。
前から楽しみにしていたのだ。
ママは台所で片付け仕事をしていた。
そこへお風呂から出てきたパパが、頭をタオルでシャカシャカしながら入ってきて、
ドカッと私が座っているソファーの横に腰を下ろした。
「…」
私は気にも留めない振りをして、テレビを見続ける。
するとパパが言った。
「T・E(女優サン)かぁ。若いのに妙に色っぽいとこあんだよな〜」
私はその言葉に、パパを横目で軽く睨む。
「パパ、こういう子がタイプなんだ」
「別にタイプとまでは言ってないよ。男だったら普通そう思うんじゃないか?」
「へー、そうなんだ」
わかってる。
芸能人に嫉妬するなんてばかげてるって。
でもムキになっちゃう。
どうしても…。