パパ、もう一度抱きしめて
第8章 我が家の大ニュース!
「梓ちゃん。パパがママの事、みてあげてって言ったのは正解だよ。
君のママは今、つわりが始まって一番しんどい時期だと思うからさ」
「はい、わかりました。私、自分の事しか考えていなかったって気づきました…。早く帰って家のお手伝いをします」
「そうだね。梓ちゃんが元気になれて、俺も良かった」
「ほんとにありがとうございました」
「じゃあ、戻ろうか」
「はい」
私は名残惜しかったが、遼太郎さんと歩いていると、不意に看護師さんが声をかけてきた。
「荻野先生だ!
今、どこの科にいらっしゃるんです?」
「やあ、田畑さん。その節はお世話になりました。今は耳鼻咽喉科にいますよ」
「そうですかー。忙しいでしょうけど、たまには産科のナースステーションにも顔を見せて下さいね。みんな喜びますから」
「ええ、そうします。皆さんによろしく」
「ふふっ。じゃあ」
若くて可愛い護師さんだった。
私を見ると、ニコッとされた。
「…」
遼太郎さんはやっぱりモテる。
それは、当然の事なのだ。