パパ、もう一度抱きしめて
第9章 淋しがり同士
あれから数日がたち、今日から十月だ。
「あず、おはよー!」
「おはよう」
「この間は遊べなくて、ごめんね」
「いいの、いいの」
ミワちゃんと、講義室へ移動しながら話した。
「あず…何かあった?」
ミワちゃんが不意に私の顔を覗き込んで言った。
「どうして?」
「なんかさ、前より穏やかな表情してるから」
「それは多分、ママに赤ちゃんができたからかな」
「えーっ、そうだったの。おめでとう!
って事はあず、お姉ちゃんになるんだね」
「ふふふ。そうなの」
「いいなぁ、赤ちゃん。いつか私も抱っこさせてもらお」
「うん」
あれから私は、ママのお手伝いをする中で、次第にパパとくっついている時間が短くなっていった。
きっと…姉になるという強い自覚が、私の中に芽生え始めていたんだと思う。