パパ、もう一度抱きしめて
第9章 淋しがり同士
一時間目はリスニング(聞き取り)の授業だ。
私もミワちゃんも耳を研ぎ澄まし、ノートにシャーペンを走らせた。
そんな時。
“梓ちゃん"
「っ!?」
突然ネイティブの英文に混じって、遼太郎さんの声がした。
だめだめっ、今は集中しなきゃ…!
「…」
“梓ちゃん"
もう、どうしよう。
ーーーー
リスニングが終わって、答え合わせが始まる。
「では、ミス松下、
前へ出て黒板に英文を書いてごらんなさい」
先生にあてられた私は、どきっ!と肩を揺らして「はい」と、席を立った。
そして…。
「そうね、合ってるわよ。よく聞き取れました」
私はホッと胸をなで下ろした。