パパ、もう一度抱きしめて
第11章 伝えたい想い
美緒が泣くのを見るのは、何年ぶりだろうか…。
多分母さんが亡くなった時以来だ。
肩が大きく上下する。止まらない嗚咽に俺も目頭が熱くなった…。
「ほら、もうそんなに泣くんじゃない」
「……」
俺は美緒を抱きしめていた。
「お前の気持ちはわかってるから」
「お兄ちゃん…」
美緒も俺の背中にギュッと両手を回した。
「…ねぇ…大丈夫だって言って…」
「大丈夫だよ。美緒が選んだ相手だ。きっと幸せになれるさ」
「しばらく…このままでいていい…?」
「いいよ」
俺は美緒の髪を、背中を優しく撫でる。
愛しい妹の感触を
いつまでも忘れないように……。