パパ、もう一度抱きしめて
第12章 覚悟の恋愛
北川さんと別れて、私は遼太郎さんのいる科を目指した。
そこは受付が終了し、開いたドアから中をのぞくとひっそりしていた。
すると
「何か用ですか?」
と後ろから聞かれ、私はハッと振り返った。
そこには年配の看護師さんが私を怪訝そうに見ていた。
「あっ、すみません!
こちらに荻野先生がいるかと思いまして…」
「荻野先生なら、今会議に行ってますけど」
「あの、何時頃戻られるんでしょうか?」
「さあ、時間まではわかりませんね」
「そうですか…」
心が折れるとは、こういうことか。
ここにくれば会えるなんて、私は甘かったのだ……。