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迷霧

第2章 2

「すみません、トイレで白いワンピースを着た女性を見かけませんでしたか?」


 丁寧な口調で、なぜか影山先輩が彼女らに聞く。


「ん? うちら以外誰もいなかったで、たぶん」


 関西弁の女性が答えた。


「そうですか……心配なのでちょっと見てきます」


 そう言うと影山先輩はトイレの方向に歩き出した。


「え、ちょっ……先輩! オレも行く!」


 オレは影山先輩の後を急いで追いかけた。
 ていうか、こういうときは鈴原さんが真っ先に凛音さんを探さなきゃいけないのに……なんで先輩が?


「先輩……凛音さんのこと、ちょっと気になってます?」

「……え?」

「あっ……すみません、さっき会ったばかりなのに、やけに彼女のこと心配するなと思って……」


 先輩は一瞬黙る。



 

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