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迷霧

第3章 3

 鳥居に着くと、女性二人と空くんがいた。
 でも鈴原さんの姿はない。


「ん……彼は?」

「なんや、勝手に一人で行ってもうたで」

「えっ……なんで止めなかったんだ」

「止めたんだけど、いきなり鬼のような形相で『うるせぇ!』って叫んで行ってしまったわ」

「あの人の目、すごく怖かった……」


 空くんが怯えた表情をしている。
 スポーツカーの件もあるし、相手があんなんじゃそうなるよな……。


 免許証は鈴原さんが持っているらしい。
 オレは朽ちた鳥居を見上げた。
 いつからここに建っているんだろう……。
 ここに鳥居があるってことは、奥に神社でもあるのかな?


「鈴原さんは鳥居をくぐって、奥に走って行ったんですか?」


 影山先輩が彼女たちに問う。


「うん。うちらもチラッと奥覗いて見たんやけどな、なんや遠くに赤い屋根らしきものが見えたわ」

「赤い屋根……民家か」


 神社じゃなくて、民家がある?
 もしかして凛音さんはそっちに向かった?


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