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迷霧

第3章 3

「暑いですか? 下界よりは涼しいと思いますけど」

「暑いよ~! 暑い暑い! てか、めっちゃ喉渇いたし、自販機ないのぉ~」

「自販機はさすがにないかと……」


 そう言われると喉が渇いてきたかも。
 まだ缶コーヒーを一本しか飲んでないし──というか、お腹すいた。こんなことがなければ、今頃うまい蕎麦を食べていたのに……。


「こんな山の中で住んでて、食料とかどうするんやろなぁ」

「自給自足なんじゃないですか? 畑もあるし」

「でも畑に野菜なんもないや~ん」


 ……ほんとだ。
 畑は荒れてて、雑草は伸び放題だ。
 しかもこの時期、田植えをしているはずの田んぼも全くなく、土はヒビ割れていた。


「じゃあきっと軽自動車でスーパーまで買い出しに行ってるんですよ」

「え~でも車が通れそうな道はなさそうやで?」


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