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迷霧

第5章 5

 いつから廃墟になったのかわからないが、それなら尚更空くんが勝手に食べているガムの賞味期限が気になった。
 いくら日持ちするとはいえ、十年も前のだったりしたら……。


「空くん、そのガム……賞味期限大丈夫?」

「賞味期限? あ~大丈夫だよ、変な味しないし」


 空くんは気にせずガムを噛んでいた。
 まあ本人が大丈夫って言うんなら自己責任だよな。


「うちもちょっとお裾分けしてもらお! 少しくらいならばれんやろ」


 そう言うと朱里さんは、赤い屋根の家の中に入って行ってしまった。


「ちょっ……」

「私が注意するから、あなたはここにいて」


 鋭い口調でそう言うと、恵美さんは朱里さんの後を追った。恵美さんならしっかりしてそうだし大丈夫か……。


「ふん、常識人ぶりやがって……」


 空くんが冷たい視線を家の方に向けながら呟いた。


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