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迷霧

第5章 5

 オレはふうっと息を吐くと、村全体を見渡した。
 そもそも本当に凛音さんと鈴原さんはこの村に来たんだろうか?こんなに大勢で探してるのに一向に見つからないなんて……なんだかオレたちだけ別の世界に来てしまったようで、少し怖い。


「あの……思ったんですけど、一旦休憩所まで戻りませんか? もしかしたら霧が晴れてるかもしれないし、凛音さんたちも戻ってるかも」


 オレは早くこの場から離れたくて、昭さんと影山先輩に提案した。


「ん~」


 だけどなぜかすぐに返事をしない昭さん。
 影山先輩も曇った表情をしていた。


「影山先輩……?」

「いいんじゃない? 彼の意見も尊重してみようよ」


 なぜか意見を出してきたのは空くんだった。ガムをクチャクチャ噛みながら、口の端をあげて笑っている。さっきの呟きといい、最初の頃と随分イメージが違う。


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