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迷霧

第5章 5

 ザクザクと山道を歩く。
 どれくらい経ったんだろうか…そろそろ朽ち果てた鳥居が見えてくるはず。


「陽太」


 ふとオレの後ろを歩いていた影山先輩がオレの腕を引っ張った。


「陽太……ごめん」

「え?」


 なんでいきなり謝るのか、オレは影山先輩に振り返った。影山先輩は何か思い詰めた表情を浮かべている。


「変なことに巻き込んでしまって、本当にごめん」

「変なこと? あぁ、影山先輩が謝ることじゃないっすよ。もとはといえば、勝手についてきて勝手にいなくなった彼らが悪いんだし」

「……」

「大丈夫ですよ、きっと今頃『あいつらおせぇな』ってブツブツ言いながら車に戻ってますって!」


 オレは自分の不安を打ち消すためにも、わざと明るく振る舞った。なんだかあの廃墟に行ってから、影山先輩含めみんなの様子が少しおかしいからだ。


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