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迷霧

第5章 5

「大丈夫、朱里ちゃんは僕がちゃんと責任持って迎えにきますから」


 そう言い残すと、昭さんはオレたちに「行きましょう」と促した。オレたちは朱里さんを一人残して、今来た道を引き返す。


「気にすることないわ、自己中なのよ、あの人」


 オレの前を歩いていた恵美さんがフォローしてくれた。その言葉にほっとするも、更に四人の関係が気になった。表面上は仲良さそうに見えるけど、たまにギスギスしたものを感じる。
 変なトラブルに巻き込まれる前に、早くここから出ないと……。


 しばらく歩くとまた朽ちた鳥居が見えてきた。
 周りはさっきと同じ風景だ。鳥居の根元にも、あの不気味な石がある。
 ふと、その石を誰かが踏んだ。


 ──空くんだった。
 空くんが無表情でドクロの石をグリグリと踏んでいる。そんなことをしては呪われやしないだろうかと思ったが、あえて見てみぬフリをした。


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