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迷霧

第5章 5

 オレは鳥居を仰ぎながら、土を踏みしめた。
 今度こそ絶対に帰ってやる、って──。


「やっぱり戻ってきてしまいましたね……」

「……」


 もう言葉にならない。
 オレはただその場に立ち尽くすしかなかった。
 さっきと変わったことといえば、朱里さんがいなくなったことだ。


「困りましたね、朱里ちゃんを探さないと……」


 その時、空くんの肩が小刻みに揺れた。


「……っく……、アハッ……アハハハハハ!!」


 突然笑いだした空くんに、皆釘付けになった。


「アハッ……すごい、すごいよ!! やっぱりぼくたちは来たんだ、杉沢村に!!」

「杉沢村……?」


 オレは思わず聞き返した。
 空くんはオレに振り返り、興奮しながら捲し立てる。


「知らないのか? あの都市伝説で有名な杉沢村だよ! さっき鳥居のとこで見ただろ? ドクロの石があっただろ? あれが杉沢村への入り口なんだよ!!」

「……」


朽ちた鳥居と、空くんが蹴っていたドクロの石が、杉沢村への入り口……?


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