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迷霧

第5章 5

「でも杉沢村って、たしか青森よね」


 恵美さんが冷静に突っ込む。


「そうですね、空くんの言っている『杉沢村伝説』は青森県にあったとされる村にまつわる都市伝説です。かつて青森県の山中には、杉沢村という村がありました。昭和の初期、一人の村人が突然発狂し、村民全員を殺して自らも命を絶つという事件が起きた。誰もいなくなった村は廃村となり地図から消え、そしてその廃墟は悪霊の棲み家となり、そこを訪れた者は二度と戻っては来られないという……」


 杉沢村の都市伝説を全く知らなかったオレは、昭さんの話を聞いて一気に背筋が寒くなった。


「確かに杉沢村への入り口のポイントとしては、似てるけどね。朽ちた鳥居がある、ドクロの石がある。でも、看板はなかったわ」

「看板って……」

「村へ向かう道路に『ここから先へ立ち入る者、命の保証はない』と書かれた看板があるそうよ」

「!」

「そうですね、看板は見てないですね」



※杉沢村伝説のWikipedia参照。

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