大切な人へ ~second story~
第2章 新生活
彼は名前を渉(わたる)としか教えてくれず
井川くんは練習中だよって指差してくれた
彼は2軍の中でマウンドに立ってた
「あいつ凄いな?入学してすぐで
2軍の控えピッチャーだもんな~」
『そうなんだ⁉やっぱ凄いな~井川くんは!』
彼女なのに知らないんだって言われた…
だって教えてくれなかったんだもん
この辺りなら見てて大丈夫って教えてくれた
渉くんは多分いい人だね
その後彼も練習に戻って行った
ここは3塁側の少し坂の上で
桜が1列に並んでいて今はもう葉っぱだけ
咲いてる季節は綺麗だったんだろうなって思う場所だ
練習は少し見てただけだけど…なんかみんな凄い
高校と一緒にしたら怒られちゃうよね
井川くんは真剣にずっと投げてた
私は彼のこの姿が好きだ
長身の彼のダイナミックなフォームも
時々汗を拭う仕草もカッコいいなって思う
彼がマウンドを降りたら渉くんが話しかけて
私の方を指差した
帽子を脱いでやっと顔が見える距離だけど
少し笑って軽く手を挙げてくれた!
嬉しくて私は大きく手を振ってた
なんかただのファンみたいだね 笑